ニキビの内服薬、イソトレチノインについて
今回は、ニキビの内服治療についてお伝えします。
ニキビ治療全般についてはこちらのページをご参照ください。
https://beauty-clinic.or.jp/trouble/acne2.html
内服薬イソトレチノインとは?
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の飲み薬です。
アキュテインとかロアキュタンなどのお薬の名前で呼ばれることもありますが、
すべてレチノイド類(ビタミンAのこと)であるイソトレチノインのお薬です。
動画にもまとめています↓↓
レチノイド類といえば聞き覚えがある方もいらっしゃるかもしれません。
ニキビの塗り薬でおなじみのディフェリンゲルやエピデュオゲルに含まれる成分です。
ディフェリンやエピデュオゲルは塗るレチノイド類ですが、イソトレチノインは内服のレチノイド類です。
イソトレチノインは欧米では20年以上の歴史がある薬で、中等度―高度のニキビに対して使われています。
近年特に、長期間の抗生剤の内服を行うデメリットが目立ってきたために、
早い段階でイソトレチノインに移行しようとする意見もあります。
日本では厚生省の認可が得られていないため保険診療で処方することはできませんが、
一部の医師が個人輸入をしてニキビの治療に処方しています。
(医師以外の方の個人輸入は禁止されています。厚労省の注意喚起のページはこちらhttps://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html)
イソトレチノインの注意点
日本でなかなか認可がおりない理由の一つとして、
妊娠中の方がこの薬を飲むと胎児の奇形が高確率で起こるということが挙げられます。
これがこの薬の最大の注意すべきポイントです。
逆に言えばこの点に気を付けて使えば有効性が90パーセント以上と有効性が高い薬ですので、
標準的な治療で改善しなかったニキビの方にとっては救世主となりえるお薬です。
奇形が生じると聞くと怖いと思われるかもしれませんが、
ビタミンAはレバーやウナギに多く含まれる栄養素の仲間ですので、医師の指示にしたがって内服すれば必要以上に怖がる必要はありません。
イソトレチノインの作用
- 毛穴をつまりにくくする
皮膚の細胞に働きかけて毛穴を詰まらせる原因となる部分の角化を調整する。
- 皮脂腺への作用
皮脂の分泌を抑制し、皮脂腺を退縮させます。
過剰な皮脂分泌がニキビの原因になっていることが分かると思います。
イソトレチノインの飲み方
1日1-2回食後に内服します。
脂溶性ビタミンですので油っぽい食事のあとに内服した方が吸収率が高まります。
初回の内服量は20㎎/日から開始することが多いです。
その後様子を見ながら増減します。
催奇形性の問題があることから、当院では女性の方は内服開始前に妊娠検査薬を用いて妊娠していないことを確認しています。
また、男女とも内服中から内服終了後6か月は避妊が必要になります。
標準的な内服期間は、6-12か月程度です。
海外の論文によるとイソトレチノインの内服トータル量が多いほど再発しにくいので、
120-140mg/kgに達するところまで内服するのを一つの目安にしています。
また内服中は肝機能や中性脂肪の値に影響することがあるため、1-2か月に1回は採血で確認します。
イソトレチノインの副作用
・妊娠中の方の内服で催奇形性
・うつ病
・粘膜の乾燥症状(口唇炎、ドライアイ、乾燥肌)
・肝機能障害
・高脂血症
・生理不順
イソトレチノインの内服ができない方
・妊娠中・授乳中
・うつ病
・14歳未満の方
・肝機能の悪い方
イソトレチノインの使用に注意が必要な方
・うつ病などの既往がある方
・未成年の方(保護者の方と一緒に説明を受けてください)
・ビタミンAサプリを内服中の方
内服を中断する場合
妊活の予定が決まった場合、お引越し、副作用が強い場合などで、内服を中断することがあります。
中断すればお薬は代謝されて徐々に効果はなくなります。
中断後も6か月間は避妊をつづけてください。
まとめ
イソトレチノインは中等度以上のニキビの方、繰り返すニキビの方に高い効果を示している海外ではよく使われる薬です。
今まで標準治療で効果を感じられなかった方は一度ご相談ください。
文責 いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック 院長 祖父江 千紗