炎症後色素沈着とは?原因・治療・レーザー後の色素沈着
炎症後色素沈着とは、ニキビや湿疹、虫刺され、やけどなどの炎症が治ったあとに残る色素沈着のことです。
皮膚に炎症が起こると、その刺激から肌を守るためにメラニンが多く作られます。本来であれば、炎症が落ち着いたあとに徐々に薄くなっていきますが、メラニンが残ることで茶色く見える状態になります。
このように、炎症のあとに色素が残っている状態を炎症後色素沈着といい、医学的にはPost-Inflammatory Hyperpigmentation(PIH)と呼ばれています。
炎症後色素沈着の特徴
炎症後色素沈着は「炎症のあとにできるシミ」であり、一般的なシミとは現れ方が異なります。
以下では炎症後色素沈着の主な特徴を3つ紹介します。
茶色〜褐色
炎症後色素沈着は、黒ではなく茶色〜褐色に見えることが多いです。
炎症によってメラニンが増え、それが皮膚に残ることでこのような色味になります。
ただし、この色味は時間や肌の状態によって濃く見えたり、くすんで見えたりすることもあり、「シミなのか色素沈着なのか分かりにくい」と感じる原因になります。特に炎症が強かった場合や、紫外線の影響を受けている場合は、色が濃く長く残る傾向があります。
炎症があった場所にできる
炎症後色素沈着の大きな特徴は、「原因となる炎症があった場所に一致して出る」ことです。
ニキビ跡であればニキビがあった位置に、虫刺されであれば刺された部分に、そのまま色素が残ります。そのため、左右対称に出ることが多い肝斑や、加齢とともにランダムに増えるシミとは異なり、「跡がそのまま残っている」と分かる形で現れます。
時間とともに薄くなることがある
炎症後色素沈着は、肌のターンオーバーによって自然に薄くなっていくことがあります。表皮に残ったメラニンが少しずつ排出されていくためです。
ただし、すべてが自然に消えるわけではなく、紫外線を浴び続けたり、摩擦などの刺激が加わったりすると、メラニンがさらに増えて長く残ることがあります。
また、色素が深い層に落ちている場合は、改善までに時間がかかることもあります。そのため、「そのうち消えるだろう」と放置するのではなく、状態に応じて適切なケアや治療を検討してください。
炎症後色素沈着の見分け方(肝斑との違い)
炎症後色素沈着は、肝斑や一般的なシミと見た目が似ていることがあり、自己判断が難しいです。見た目だけで判断してしまうと、適切でない治療を選んでしまう可能性もあるため注意が必要です。
以下は、炎症色素沈着と肝斑の違いについてまとめた表です。
| 炎症後色素沈着 | 肝斑 | |
|---|---|---|
| 原因 | 炎症 | ホルモン・摩擦 |
| できかた | 炎症のあった場所にできる | 頬に左右対称 |
| 色 | 茶色 | 薄い茶色〜灰色 |
| 経過 | 徐々に薄くなることがある | 自然に消えにくい |
| 治療 | 原因に合わせた治療 | 専用治療が必要 |
実際にはこれらが混在しているケースも多く、見た目だけで正確に見分けるのは難しいです。そのため、気になる色素沈着がある場合は、皮膚科での診察を受けてください。
シミ・色素沈着の診察予約は以下から、お近くの医院、ご都合の良い日程でご相談ください。
炎症後色素沈着の種類(表皮型・真皮型)
炎症後色素沈着は、メラニンがどの深さにあるかによって大きく2つに分けられることがあります。
見た目や改善のしやすさ、治療方法にも違いがあるため、2つの種類について知っておくと良いです。
表皮型色素沈着
メラニンが皮膚の浅い層である表皮に存在するタイプです。一般的にイメージされる炎症後色素沈着の多くはこの表皮型にあたります。
主な特徴は、以下のとおりです。
- 茶色
- 時間とともに改善しやすい
- 外用薬やレーザー治療が効果的なことが多い
表皮にあるメラニンは、ターンオーバーによって排出されるため、比較的改善しやすいのが特徴です。適切な外用治療やレーザーを組み合わせることで、より早い改善が期待できるケースもあります。
真皮型色素沈着
メラニンが皮膚の深い層である真皮に沈着しているタイプです。表皮型と比べて、見た目や治療の難しさが大きく異なります。
主な特徴は、以下のとおりです。
- 灰色〜青みがかった色
- 改善まで時間がかかることがある
- 治療方法を慎重に選択する必要がある
メラニンが真皮に沈着するタイプです。
真皮に落ちたメラニンは自然に排出されにくいため、改善までに時間がかかることがあります。また、刺激の強い治療によって悪化する可能性もあるため、肌の状態に合わせた慎重な治療選択が必要です。
炎症後色素沈着の原因
炎症後色素沈着は、皮膚に炎症が起こった際にメラニンが増えることで生じます。これは、外からの刺激から皮膚を守るための防御反応の一つです。
しかし、そのメラニンが残ることで、炎症が治ったあとに色素沈着として見える状態になります。
主な原因として、次のようなものがあります。
- ニキビ跡
- 虫刺され
- 湿疹やかぶれ
- やけどや外傷
- レーザー治療や美容施術
- スキンケアなどの摩擦
これらの刺激によって炎症が起こると、メラニンが過剰に作られ、その一部が皮膚に残ることで色素沈着として現れます。
特に、炎症が強かった場合や、繰り返し刺激が加わる場合は、色が濃く残りやすくなる傾向です。
炎症後色素沈着の経過
炎症後色素沈着は、できた直後から少しずつ変化していくのが特徴です。すぐに消えるものではありませんが、時間の経過とともに徐々に目立ちにくくなることが多いです。
| 炎症直後 | 炎症が治まったあとに、茶色い色素が皮膚に残ります。この時期は色がはっきり見えることが多く、「シミのように見える」状態になります。 |
|---|---|
| 数カ月後 | 肌のターンオーバーによって、徐々にメラニンが排出され、色素が少しずつ薄くなっていきます。 |
| さらに時間が経過 | 時間が経つにつれて、色はさらに薄くなり、目立ちにくくなることが多いです。 |
ピコスポットの炎症後色素沈着の例
①ピコスポット照射前
②ピコスポット照射後
③ピコスポット照射2週間後
④1か月後に少し色素沈着が出ている状態
Qスイッチレーザーの炎症後色素沈着の例
①Qスイッチレーザー前
②Qスイッチレーザー照射後
③照射2週間後
④3か月後に色素沈着が残っている状態
炎症後色素沈着は自然に消える?
炎症後色素沈着は、時間の経過とともに自然に薄くなることが多い色素沈着です。肌のターンオーバーによって、メラニンが少しずつ排出されるため、特に軽度な場合は治療をしなくても目立たなくなることがあります。
ただし、次のような場合は改善に時間がかかることがあります。
- 色素沈着が濃い
- 紫外線の影響
- 摩擦などの刺激
- 炎症が残っている
これらの要因があると、メラニンが増え続けたり、排出が遅れたりして、色素沈着が長引くことがあります。そのような場合は、まず原因となる刺激を取り除くことが大切です。
そのうえで、美容皮膚科での治療を行うことで、改善までの期間を短縮できる可能性があります。
色素沈着の診察予約は以下から、お近くの医院、ご都合の良い日程でご相談ください。
当グループでおこなう炎症後色素沈着の治療
炎症後色素沈着の治療は、原因や現在の肌状態によって選択が異なります。当グループでは、状態を確認したうえで複数の方法を組み合わせながら治療を行っています。
以下は、治療内容の参考としてください。
外用治療
メラニンの生成を抑えることを目的に、ハイドロキノンなどの外用薬を使用します。また、肌のターンオーバーを整えるためにピーリングを行うこともあります。
肌への刺激を考慮しながら、状態に応じて選択していきます。
内服治療
美白作用のある内服薬として、トラネキサム酸などを使用することがあります。体の内側からメラニンの生成を抑えることで、色素沈着の改善をサポートします。
ただし、既往歴や体質によって適応が異なるため、診察のうえで判断します。
デバイス治療
色素沈着の状態によっては、機器を用いた治療を行うことがあります。YAGレーザーによるトーニングやロングパルスレーザー、ニードルRFなどを用い、メラニンへのアプローチや肌環境の改善を図ります。
刺激にならないよう、出力や方法を調整しながら行います。
肌状態に合わせた治療
炎症後色素沈着は、原因やメラニンの深さ、肌質によって適した治療が異なります。そのため当グループでは、診察を行ったうえで、一人ひとりの状態に合わせた治療方法をご提案しています。
シミ治療の相談は以下から、お近くの医院、ご都合の良い日程でご相談ください。
炎症後色素沈着の治療症例
当院では、肌の状態に合わせて炎症後色素沈着の治療を行っています。以下は、実際に当グループで治療を行った際の症例になりますので、参考にしてください。
こちらの症例は、オーダーメイドコース中にルビーフラクショナルというしみを壊す力が強いレーザーを照射して、医原性の炎症後色素沈着をきたした例です。恥ずかしながらルビーフラクショナルの設定が少し強かったことと、照射前にも色素沈着があることを見落として照射してしまいました。
①照射前の状態です。もともと色素沈着が少しあります。
②ルビーフラクショナル照射から4日後です。照射反応が強めに出ています。
③2か月後、炎症後色素沈着が残っています
④4か月後、ポテンツァなどにより炎症後色素沈着がじょじょに改善
⑤5か月後。炎症後色素沈着がほとんど気にならなくなったうえに、ポテンツァの効果で肌の張りが出て全体にきれいになりました。
こちらの症例ではポテンツァSチップ・ロングパルスヤグレーザー・エレクトロポレーションを中心とした治療でうまく改善させることができました。ただ待つだけよりは早く改善できかつきれいになったように思います。
症例によっては炎症後色素沈着の治療は時間がかかり、なおかつ炎症が残っていると繰り返すので難しいこともあります。
特に、真皮レベルの色素沈着は治りにくく時間がかかることがあります。
レーザー後に起こる色素沈着について
シミ治療などでレーザーを行ったあとに、一時的な色素沈着が起こることがあります。これは、レーザーによって皮膚に軽い炎症が生じ、その反応としてメラニンが増えるためです。
このような色素沈着は、時間の経過とともに徐々に薄くなっていきます。ただし、肌質や施術後のケア、紫外線の影響などによっては、色素沈着が長引くこともあります。
そのため、レーザー治療後は紫外線対策や刺激を避けるケアが大切です。状態に応じて外用薬や内服などを併用することで、色素沈着の改善を早めることができます。
色素沈着を早く治すためにやってはいけないこと
炎症後色素沈着を早く改善するためには、肌への刺激をできるだけ避けてください。刺激が続くとメラニンが作られやすい状態が続き、色素沈着が長引く原因になります。
特に以下の行為に注意してください。
- 強くこする洗顔
- 摩擦の多いスキンケア
- 紫外線対策をしない
- 自己判断で刺激の強い治療をする
日常生活で避けられることも多いので、普段から意識しておきましょう。
炎症後色素沈着のセルフケア
炎症後色素沈着のケアでは、肌への刺激をできるだけ避けることが大切です。例えば、次のようなポイントを意識するとよいでしょう。
- 紫外線対策
- 摩擦を避けたスキンケア
- 保湿
なお、摩擦による色素沈着が疑われる場合は、オイル洗顔(ベビーオイル洗顔)を試す方法もあります。こすらずに汚れを落とすことで、肌への負担を減らせます。
色素沈着が気になる方は一度ご相談ください
色素沈着は時間とともに薄くなることもありますが、すべてが自然に改善するとは限りません。状態によっては、適切な診断や治療が必要です。
特に、以下のような場合は一度ご相談ください。
- 色素沈着が長く残っている
- 徐々に濃くなっている
- 自然に治るか不安がある
これらのケースでは、炎症後色素沈着だけでなく、他のシミが関係している可能性もあります。状態を正しく見極めるためにも、皮膚科での診察をおすすめします。
シミ・色素沈着の診察予約は以下から、お近くの医院、ご都合の良い日程でご相談ください。
当院のシミ治療
シミは種類や原因によって治療方法が異なります。
当院では、肌の状態を診察したうえで、一人ひとりに適したシミ治療をご提案しています。
炎症後色素沈着についても、メラニンの状態や肌質に合わせて治療内容を選択し、無理のない形で改善を目指していきます。
詳しい治療内容については、オーダーメイド治療ページをご覧ください。
炎症後色素沈着に関するよくある質問
炎症後色素沈着に関するよくある質問について、以下で回答していきます。
疑問が残る場合は、ぜひ直接ご相談ください。
Q.炎症後色素沈着はどれくらいで消えますか?
A.数ヶ月〜1年程度で徐々に薄くなることが多いです。ただし、色素が皮膚の深い部分(真皮)に入り込んでいる場合は、メラニンが処理されるまでにさらに時間がかかることがあります。
Q.レーザーで治療できますか?
A.肌の状態によってはレーザー治療を行うことがあります。
Q.ニキビ跡の色素沈着にも効果はありますか?
ニキビ跡の色素沈着に対しても、肌の状態に合わせた治療を行うことがあります。
