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ニキビ跡治療について患者さんにも知っていただきたい考え方

[2026.04.30]

ニキビ跡は「治療すればすぐに消えるもの」ではありません。

ニキビ跡は皮膚の表面だけの問題ではなく、皮膚の奥で起きた構造変化が残っている状態です。

この皮膚の修復は、傷ができたあとに起こる「創傷治癒」というプロセスによって進みます。

この過程では、炎症・組織の再生・構造の再構築といった複数の段階を経て、時間をかけて徐々に皮膚が変化していきます。

そのため、ニキビ跡治療も短期間で完結するものではなく、段階的に積み上げていく治療になるのです。

本記事では、創傷治癒の考え方をもとに、ニキビ跡治療の進み方や必要な期間について解説しています。

なお、内容の一部は創傷治癒に関する論文を参考にしています。(Wound Healing Phases - StatPearls - NCBI Bookshelf

ニキビ跡治療は全員同じ方法ではありません

ニキビ跡治療では、「この治療が一番良い」と一つに決めることはできません。

見た目が似ていても、実際には凹みの深さや広がり方、皮膚の硬さ、癒着の有無などが一人ひとり異なるためです。

そのため、特定の機器や治療だけで対応しようとすると、十分な改善につながらないことがあります。

大切なのは、状態に合った治療を選択することです。

今回は瘢痕を伴うニキビ跡について考え方をまとめます。

ニキビ跡治療には段階があります

ニキビ跡治療は、軽度から重度まで状態に幅があり、それに応じて治療方法も変わります。

軽いニキビ跡であればレーザーのみで改善を目指せる場合もありますし、深い癒着がある場合にはサブシジョンが必要になります。

さらに重度の場合は、カスタマイズ治療が必要になることもあります。

レーザー治療のみで改善を目指せる例

浅いニキビ跡や、全体的な肌のざらつきが中心の場合は、フラクショナルレーザーなどの治療で改善を目指せることがあります。

皮膚の表面から徐々に再生を促すことで、凹凸をなめらかにしていく方法です。

レーザーを継続することで少しずつ状態が整っていきます。

軽度のニキビ跡であれば、この方法だけで十分な改善が期待できることもあります。

サブシジョン治療のみで改善を目指す例

お顔全体の瘢痕ではなく、部分的に深い瘢痕がある場合に特に有効です。

中程度のニキビ跡では、皮膚の奥で癒着が起きている可能性があります。

このような場合には、サブシジョンによって癒着を剥がす必要があります。

すべてをサブシジョンで行うというよりは、深い部分に対してピンポイントで行い、全体の肌質はレーザーで整えていくという考え方です。

深さに応じて治療を使い分けることで、効率よく改善を目指すことができます。

カスタマイズ治療(サブシジョン+レーザー)で改善を目指す例

広範囲に癒着がある場合や、凹みが深く複雑なニキビ跡では、サブシジョンとレーザーを組み合わせたカスタマイズ治療が必要になります。

サブシジョンで皮膚の奥の引きつれをはがしながら、レーザーで表面の凹凸を整えていきます。

治療回数や期間も長くなりますが、その分しっかりと変化を積み上げていける治療方法です。

治療の選択は医師の判断が重要です

ニキビ跡治療では、「どの治療をやるか」だけでなく、「どの順番で行うか」が結果に大きく影響します。

同じ治療でも、タイミングを間違えると効果が出にくくなることがあります。

SNSやインターネットの情報から「この治療が良さそう、この治療が人気だからやりたい」とおっしゃる方もいますが、原因や状態に合っていなければ改善にはつながりません。

当院では、これまで多くの症例を見てきた経験をもとに、現在の状態だけでなく、その後の変化も見据えた治療の順番を組み立てています。

今の状態に対して何を優先すべきかを判断し、無理のない形で改善につなげていきます。

ニキビ跡治療はすぐに効果が出る治療ではありません

ニキビ跡治療は、数回で大きく変化するものではありません。

時間をかけて少しずつ改善していく治療です。

以下で、実際にどの位の期間でどのように変化していくのかについて解説していきます。

治療開始〜3ヶ月:土台作り

ニキビ跡治療を始めてすぐは、見た目の変化が出る前に、肌の内部で修復の準備が進んでいる段階です。

論文では、以下のように説明されています。

Wound healing is a natural physiological reaction to tissue injury. However, wound healing is not a simple phenomenon but involves a complex interplay between numerous cell types, cytokines, mediators, and the vascular system.

日本語訳:創傷治癒は、組織損傷に対する自然な生理的反応です。しかし、創傷治癒は単純な現象ではなく、多数の細胞型、サイトカイン、メディエーター、および血管系間の複雑な相互作用を伴います。

引用元:Wound Healing Phases - StatPearls - NCBI Bookshelf

つまり、肌の修復は単純にすぐ形が変わるものではなく、さまざまな細胞が関わりながら段階的に進むものです。

そのため、最初の数ヶ月は変化がわかりにく「思ったよりも変化がない」と感じる方もいます。

3ヶ月〜6ヶ月:変化を実感しやすい

治療を継続していくと、少しずつ「肌の凹凸がなめらかになってきた」と感じるタイミングが出てきます。

これは内部の修復が進み、構造が変わり始めている状態です。

新しい組織が作られたり、血流が改善されたりしています。

6ヶ月以降〜

ニキビ跡の治療は、6ヶ月以上かかるケースもあります。

以下の論文でも、12ヶ月続くことがあると記載されています。

The maturational or remodeling phase starts around week 3 and can last up to 12 months.

日本語訳:成熟期またはリモデリング期は3週目頃から始まり、最長12ヶ月続くことがあります。

引用元:Wound Healing Phases - StatPearls - NCBI Bookshelf

肌の構造がしっかり整うまでには、半年〜1年程度かかるということです。

ニキビ跡治療は短期間で完了するものではなく、継続することで改善に近づいていくと覚えておきましょう。

そして瘢痕の回復は元通りという訳ではなく、8割程度にとどまるとも書いてあります。

「数回の治療で治る」は稀なケース

ニキビ跡治療では、「3回で改善」「短期間で綺麗になる」といった情報を見かけることがあります。

このような言葉に期待して相談される方もいらっしゃいます。

しかし実際には、そのようなケースは一部です。

ニキビ跡は皮膚の構造そのものが変化している状態のため、表面だけを整えてもすぐに改善するわけではありません。

劇的に改善する症例もありますが、それは条件が揃ったケースであり、すべての方に当てはまるものではありません。

ニキビ跡治療は適切な治療と継続の積み重ね

ニキビ跡治療は、「どの治療を選ぶか」と「どれだけ継続できるか」の2つが大切です。

1回ごとの変化は小さくても、それを積み重ねていくことで改善していきます。

また、肌の状態を見ながら治療内容を調整していくこともポイントです。

必要に応じてサブシジョンを追加したり、アプローチを変えたりすることで改善につながっていきます。

時間がかかるものではありますが、ぜひ諦めず少しずつよくなっていることを感じながら進めていけると良いですね。

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